電力を喰らう者物

いつからだろう、為体なわたしは誰かが起こしてくれるまでずっと寝ている。
平日はアラームやその気配で目覚めるのだが、休日はもっぱら4度寝の末が夕暮れ時で、5度寝で1日が終了する。
 
一人暮らしを始めてからは、誰も「そろそろ起きなよ」なんて言ってくれない。起きないわたしを心配する人も、怒る人もいない。そもそもわたしが寝続けていることを誰も知らない。
 
だから何事もなく帰宅した日は、夕暮れ前には食事を済ませ、そのまま布団にディゾルブする。帰りが遅くなったとしても、玄関から布団への導線は変わらず、就寝時間はそこいらの園児よりも早い。
 
 
そこへ事件が起こる。
 
わたしの家の玄関ドアは郵便受け一体型なのだが、内側に受け取るポケットがない。家に帰ると玄関には郵便受けに突っ込まれたすべてが散らかっている。
 
先日、散乱物の中に電力会社からの請求書があった。請求金額を見て驚愕する。
 
何かの間違いでは。
 
今までも当たり前のように電気は使用しきた。幼少期からやどかりの如く引越しを繰り返してきたわたしは、実家を出てからも住居を転々とした。それぞれの家でそれなりに電気を使用し、多分それに見合った代金を支払ってきた。払い込むのが遅れて、威圧的なお手紙を頂戴したこともあった。
 
そういえば今月は何度か「…電気消さなきゃ」と思いながらも布団の柔らかさに負けた。最近は朝晩冷え込むので電気ストーブにへばりついている。
 
¥1,018-
 
今まで、どんなに切り詰めても¥3,000弱だった。安さの理由にアンペア数や、居住人数もあるだろう。来客数もあるかもしれない。でもこんなの初めてだ。
 

考え得る理由を挙げてみる。

・蛍光灯は殆ど使用せず、電球は省エネの白熱灯に付け変えている。
・テレビがない。パソコンはノート。ネット環境はiPhoneテザリング
・そもそも家にいる時は寝ている。
 
原発反対派のわたしは、電気を極力使わないのは良いことだと思う。しかしながらこれは怠慢から来る稼働率が低さだ。
 
思い当たる節は電気だけではない。ここのところコンタクトを着ける日がめっきり減った。部屋着同然の羽織を纏い、膝掛けを首に巻いて出掛ける。酷い日はもこもこソックスを革靴にねじ込んで出掛けた。エコより以前に緊張感が欠けている。
 

今日はお休み。
珍しく朝から所用を足し、ひとつひとつ溜まっていた手続きを片付けていく。
帰り道はやみくもに歩いた。体を暖めて布団欲を削ぐのだ。途中DVDを借り、ロールケーキを買う。夜寝つきが悪いという人は、就寝前のブルーライトを避けるといいと聞く。そして甘いものを食べたら流石にそのまま寝れないだろう。

今日は今月で一番起きている。
なんだか少し得意げだ。ただ起きてるだけなのに。そしてそのことを誰も知らないのに。

これで電気代が跳ね上がったら元も子もないのだが。省エネ家電を見習いたい。